本屋に行くと結構な確率で平積みしてあるこの本、「伝え方が9割」。
100万部突破のベストセラーです。
正直、読む前は斜に構えた姿勢で見ていました。
世にありがちな「コミュニケーションの手法だけの本」「内容の薄い本」なのかなぁと。
今思えばまったく意味のわからない考え方です。^^;
「そこまで推すんなら読んでみようかな」
という謎の架空のタワマンから見下ろすくらいの気持ちで買ってみましたが…
最初に読んだ感想。
なんで今までこれを読まなかったんだろう・・・
この本は、著者の苦行とも言える実体験に基づいた「技術」を伝えています。
ある意味、「魚のさばき方・野菜の切り方」と同等とも言えます。
料理にはそういった「技術」は必須。そんな技術を身につけた著者はどんな方なのでしょうか。
まずはこの本が世に出るに至った背景から書いていきます。
日本でもっとも漢字の書けないコピーライターだった
子供のころは転校生だったそうです。方言で好奇の目で見られた佐々木少年は、それがトラウマとなりコミュ障に。
一方で、「人とうまく話せるようになりたい」という願望を持っていました。
伝えるのが苦手だった佐々木氏は大学で理数系に進みました。そして伝え方と関係がない機械工学を学びました。
その意外性が買われ、なんと広告会社に入社。もっとも苦手としている分野コピーライターとしての肩書きを得ます。
「まったくの優良誤認」と思いながらも諦めずに続けたものの、ストレスで過食に。
そこでもがく中で、ある日見つけ出します。
「伝え方にはシンプルな技術がある」
「感動的なコトバは、つくることができる」
「私の鼻息が荒くなったのは、小太りだっただけではない」といった、読者を微笑ませる描写もあります。
そんな描写がところどころに出てくるのがこの本の隠れた魅力です。
この本は、正しく、美しい日本語を学ぶための本ではない。
この本は、人の心に届く伝え方を学び、身につけることでビジネス、人生で成功したい人のための本。
「普通の人より伝え方がへたくそだったからこそ、試行錯誤の上で伝え方の技術を身につけることができた」
佐々木氏がコピーライターとして苦労していく中で得た教訓があります。
それは、さまざまな人の心を打つコトバには、「構造が似ている」ということ。
「心を動かすコトバには、法則がある」その法則を学び、実践していく方法が実にわかりやすく書かれています。
「世の中の大勢の伝え方は、温泉でお気軽ピンポンをやっているレベル」
コツを身につけることで、「人生の決めどころで、狙ってスマッシュを打てるようになる」
「あなたの「ノー」をひとつでも「イエス」に変えられたら」
はじめのうちは、意識して作る。料理のレシピ本のように、手順を追って作っていくように。
まずは基本を身につける。
そう思うと、読んでみる気になりませんか?
この本の第一印象
圧倒的に読みやすい。
「この日本酒飲みやすいですね」と同じようなこのセリフ。
正直、薄いようでキライです。
とはいえ、本の読み進めやすさってやっぱ事実としてありますよね。そこが他の本と一線を画します。
まず、ひとつひとつの文章がとても短く区切られています。そのため、結論にすぐ到達できるので、理解が早まるのです。
思えば日本語は英語と違い、もっとも伝えたいことが語尾にきます。
あまり長い文章だとまどろっこしいんですよね。
ところどころに太字のハイライト、1ページに余白の多い構成。
同じことを違った視点で書くことで繰り返し訴求し、理解を深める工夫。
そのため、一度通読してしまえば、復習は非常に簡単です。
さすが伝え方を書いているだけあり、読者に対してもその手法を感じることができます。
第2章からが本題
前項までの内容が、この本の第1章です。いかに「伝え方」が大きなメリットを発揮するかーということが佐々木氏自身の体験を交えて熱く書かれています。
2章は相手から「イエス」をもらうための工夫という内容。
1、自分の頭の中をそのままコトバにしない
2、相手の頭の中を想像する
3、相手のメリットと一致するお願いをつくる
この3つのステップは、どんなお願いにも共通。
確かに、自分と相手を切りなはしてしまいがち。役割は明確に違っていたとしても、「お願いを相手と共作していく」ことで結果として相手にもギブできるとなれば、素晴らしいことだと思います。
第3章は、強いコトバを作るための工夫5選
まずは、自分の言いたい文を書く。それにひとこと、付け足す。
単純に言うとこれだけ。どんなものを付け足すかをカテゴリー分けして5つ紹介しています。
例えばJR東海の有名なキャッチコピー「そうだ。京都へ、行こう。」
これは、“京都へ行こう”という平文に、“そうだ”というコトバを足したのです。
そうしたことで人々の心に響いたキャッチコピーを生み出した例です。
そんな実例を数多く紹介しており、わかりやすい。
実例をもとに、実際に読者にも簡単な問題形式でコトバを作っていく楽しさもあります。
この記事はそれを習い、なるべく文章を区切ることを心がけました。
まず第一歩として、楽しんで取り組んで行きたいです。
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