この「創業計画書」の記事は、日本政策金融公庫フォーマットに沿って実際に書いて行ったことをもとに作成しています。
今回は、第3項目「取扱商品・サービス」についてです。
ここは事業をやっていく上で根幹的な部分。フォーマットだと数行ですが、まぁこの紙切れ一枚で済むはずがありませんね…
ここはフォーマットの書式はひとまず置いておき、具体的に自分がどんなお店をやっていきたいのか。
ここをとことん突き詰めて考え、文章に落としていく作業です。
誰もが、頭の中では「こんなお店をやりたい」という考えはあるはず。
自分の理想のお店像を書くだけだから、簡単だろうとたかを括ってしまっていました。
いやはや本当に甘い考えでした。思いの外行き詰まってしまいました。
その「自分の理想のお店像」というものを、様々な角度から「コンセプト」という形で具現化していきます。
コンセプトとは何か
辞書を参照すると、このように書かれています。
コンセプト①概念。②企画・広告などで、全体を貫く基本的な観点・考え方。
(岩波書店「国語辞典」より)
注目したいのが②。全体を貫く、という言葉が非常に重要です。
今後やっていく行動の軸となるものなので、決めたことに沿って行動していくため、明文化して定めていくわけです。
これからお店を運営していく上で必要な要素について、細かくコンセプトを考えていきます。
その要素は、根と、幹、枝と葉のように分かれていますが、お店は一本の大きな木と捉えます。
それをイメージすると、自ずと書いていくうちに身が引き締まっていきますし、どのコンセプトも他とぶつかったり矛盾してはいけないわけです。
意外と忘れ去られがちな「社是、経営理念、社訓」
ここはどういうお店にするか、というよりも自分が1人の人間としてどのように考え、行動していくかの「根幹」とも言える部分です。
本当に小さな家族経営の個人事業ではありますが、だからこそ夫婦幸せに仕事をしていくために、まず打ち出したい精神的基盤です。
私は「以和為貴ー和を以って貴しと為す」です。
「和」を何よりも大事にします。争うことをせず、心のうちをしっかりと話して、物事をうまく運ぶ努力を怠らない。
これは、私の態度で奥さんを傷つけたりすることのないよう、自戒を込めた社是です。自分が人間として未熟だとわかっているからこそ、その未熟さで誰かを不幸にしないよう。そう想いを込めています。
メインコンセプト
さて、創業計画書で実際に書いていく部分はここからですね。
どんなお店を開きたいのか。なるべく端的でわかりやすく、それでいて軸としてしっかりしたものが求められます。
思いはたくさんある。しかしそれをどんどん盛り込んでいってしまうと、長くわかりにくくなります。
また、聞こえが良くてもありきたりのコンセプトだと、お店としての魅力が伝わってきません。
「明るくて和やかな、お客様を我が家にお迎えするような素朴で飾らない店。」
をメインコンセプトとして定めました。
しかし、これだと「どんな商品を提供するお店なのか」が全く盛り込まれていません。
これから決めていくそれぞれのコンセプトから、お客様にとって1番わかりやすい!というものを端的に盛り込んでいく必要があります。
商品コンセプト
どのよう「な」ものを、どのよう「に」売るのか。そこをなるべく具体的に端的に表します。
「新鮮な魚介をおばんざい。地域の食材、地域の地酒をアピールする。テイクアウトでも全国津々浦々の食材、料理を楽しんでいただく。また、四季、歳時記などを盛り込み折々の季節感を楽しんでいただく。」としました。
正直、メニューを考え仕入れれば、いろんな地域の食材を扱うこととなります。そこを「全国津々浦々の〜」と一言付け加えることで、ありそうでなかった付加価値をつけていきます。
季節感については、せいぜい「おせち、恵方巻き、うなぎ・・・」など大々的にアピールするものは限られています。
しかし、それを毎日さりげなくメニューに織り込んでいくことで、「そういえばもうこんな季節なんだ…」と、当店で気づいていただける雰囲気づくりを心がけます。
顧客コンセプト
誰に、どんな人に向けて訴求していくのか。最も評価してくれる人は誰なのか。
いわゆる「ペルソナ」を見定めていく、という作業です(心理学の用語らしいですが、結構幅広く使われている感じがします)。
これが意外と難しい。通り一般的な顧客イメージしか浮かんでこなく、実際のそこに住む人、潜在的に需要のある方達を想像すると、ペンやタイプする手が止まります。
ここは、私の個人事業のメンターが教えてくれたのですが、ビール会社も実は不動産に通じていて、出店希望地区の人流データを詳細に出すこともできる。という話でした。
一度全く商圏の全く異なる物件のデータを見たことがありますが、携帯電話のGPSを利用した世帯や通行世代、時間帯など驚くほど実態に則したデータを出していました。
個人でここまでやることは無理ですが、要は「こういう人に売りたい」という考え方だけでなく、現実的にお店に来店動機を持って来てくれる人は誰なのかを具体的に考えることが大事です。
私はこう見ました。
「ランチは、40代以降の会社員男性。営業、自宅勤務。近所に住む主婦。身体に良いお惣菜について関心のある方達に訴求する。
ディナーは40代以降の男性。飲んで帰るのが楽しみ。真っ直ぐ帰る日と、ちょっと飲みたい日がある。店員と話をするのが好きだが、基本静かに飲みたい。3rdプレイスを常に探している。気に入った店があれば、家族も連れていきたいと考えている。ある程度会社で責任のある立場なので、自己責任で運営している個人店に親近感を感じる。」
ちょっと長くなってきたので、以降「下」投稿に続きます!
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